ブログ

  • 建設業許可の更新手続き|兵庫県の必要書類と添付書類を実務通りに解説

    建設業許可には5年の有効期間があります。期限までに更新しなければ許可は失効し、税込500万円以上の工事を請け負えなくなります。失効すると更新ではなく新規申請になり、手数料も高くなります。

    この記事では、兵庫県知事許可(一般・法人)の更新について、提出する書類と、実際に窓口で求められる添付書類をまとめます。

    受付は満了日の3か月前から30日前まで

    兵庫県では、有効期間が満了する日の3か月前から30日前までに更新の申請書を提出します。

    満了日までではなく、30日前が締め切りです。たとえば満了日が令和8年10月10日なら、令和8年9月10日までに出す必要があります。証明書の取得に日数がかかることもあるので、許可証を見て満了日から逆算し、3か月前には動き出してください。

    なお、30日前を過ぎてしまった場合でも、満了日までであれば受け付けてもらえることがあります。実際に、30日前を過ぎてから提出して受理された例もあります。ただし、これは窓口の判断によるもので、必ず受け付けてもらえるわけではありません。書類に不備があれば直す時間もありません。あくまで例外として考えて、30日前までの提出を目指してください。

    更新の前に決算変更届の確認を

    更新で一番多いつまずきが、決算変更届(事業年度終了報告)の未提出です。

    決算変更届は毎年の決算後4か月以内に出す届出で、これが5年分そろっていないと更新の手続きが進みません。出していない年があれば、その分をまとめて作成してから更新申請をすることになります。

    自社で許可を取ったあと、毎年の届出を忘れていた、というご相談は少なくありません。更新の準備は、まずここの確認からです。

    更新で提出する様式

    兵庫県知事許可(一般・法人)の更新で提出する様式は、次のとおりです。

    • 表紙
    • 建設業許可申請書(様式第1号)
    • 役員等の一覧表(別紙1)※法人の場合
    • 営業所一覧表・更新用(別紙2(2))
    • 収入印紙、証紙等はり付け欄(別紙3)
    • 営業所技術者等一覧表(別紙4)
    • 誓約書(様式第6号)
    • 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書(様式第7号)
    • 常勤役員等の略歴書(様式第7号 別紙)
    • 健康保険等の加入状況(様式第7号の3)
    • 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書(様式第12号)
    • 営業の沿革(様式第20号)

    前回から変更がなければ省略できるもの

    • 登記事項証明書(商業登記)
    • 株主(出資者)調書(様式第14号)
    • 所属建設業者団体(様式第20号の2)
    • 主要取引金融機関名(様式第20号の3)

    更新では提出しないもの

    • 工事経歴書(様式第2号)
    • 直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)
    • 使用人数(様式第4号)
    • 営業所技術者等証明書(様式第8号)
    • 実務経験証明書、指導監督的実務経験証明書(様式第9号・第10号)
    • 資格証明書、卒業証明書などの写し
    • 財務諸表(様式第15号から第19号)
    • 定款
    • 納税証明書

    更新は新規申請に比べて、作る書類がかなり少なくなります。工事経歴書も財務諸表も要りません。毎年の決算変更届を出していれば、県はそちらで経営内容を把握しているためです。

    実際に求められる添付書類

    様式のほかに、次の書類を添えます。変更がなければ、この5点でそろいます。

    • 登記されていないことの証明書(役員全員分)
    • 身分証明書(役員全員分)
    • 標準報酬月額決定通知書
    • 保険料納入告知額・領収済額通知書(直近分)
    • 労働保険料納入通知書と労働保険料等領収書

    登記されていないことの証明書は法務局、身分証明書は本籍地の市区町村で取ります。どちらも発行から3か月以内のものが必要です。役員が県外に本籍を持っている場合は郵送請求になるので、日数を見込んでおいてください。

    標準報酬月額決定通知書は、健康保険と厚生年金の加入証明と、経営業務の管理責任者や営業所技術者の常勤性の確認を兼ねます。対象の方の氏名がその通知書に載っているかを必ず確認してください。

    社会保険料の通知書は直近のものを用意します。

    雇用保険は、労働保険料の納入通知書と領収書をセットで出します。このとき、通知書の金額と領収書の金額が対応していることが大切です。

    手数料と提出先

    手数料は5万円です。兵庫県収入証紙を、別紙3のはり付け欄に貼って納めます。提出は正本と副本の2部です。

    姫路市に主たる営業所がある場合の提出先は、中播磨県民センター姫路土木事務所建設業課です。

    更新のときに見られる要件

    更新は、書類をそろえれば自動的に通る手続きではありません。次の要件を今も満たしているかが確認されます。

    • 経営業務の管理責任者がいること
    • 営業所ごとに営業所技術者(専任技術者)がいること
    • 健康保険、厚生年金、雇用保険に加入していること
    • 欠格要件に該当していないこと

    特に気をつけたいのが、人の入れ替わりです。経管や技術者だった方が辞めていたり、役員が変わっていたりすると、本来はその都度、変更届が必要です。更新のときにまとめて整理することになると、手間も時間もかかります。

    早めの準備を

    更新は新規より書類が少ない一方で、決算変更届の積み残しや役員の変更があると、思ったより時間がかかります。まずは許可通知書を開いて、有効期間の満了日を確認してみてください。あと半年を切っているなら、準備を始める時期です。

    行政書士なかお事務所では、姫路市を中心に兵庫県全域で、建設業許可の更新、決算変更届、各種変更届のお手伝いをしています。決算変更届が何年分か抜けている、というご相談も歓迎です。まずはお気軽にご連絡ください。

  • 産業廃棄物収集運搬業許可の「運搬容器」とは 兵庫県での書き方と写真の撮り方

    建設業許可を取ったあと、現場のがれきや残材を自社の車で運びたいという理由で、産業廃棄物収集運搬業許可を続けて取得される会社は少なくありません。

    その申請でつまずきやすいのが「運搬容器」です。車両はある、講習も修了した、それなのに窓口で「この品目を運ぶなら容器はどうするのですか」と聞かれて止まってしまう。よくあるパターンです。

    兵庫県の許可申請要領(令和8年5月版)に沿って、要点を整理します。

    まず申請先を確認する

    兵庫県の要領では、提出先が次のように整理されています。

    政令市(神戸市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市)の1市のみで収集運搬を行う場合は、その政令市に申請する。それ以外の場合は、兵庫県知事の許可を県民局に申請する。

    姫路市の許可は、姫路市内で積んで市内で降ろす場合のものです。現場が姫路市内でも、処分場が市外にあれば足りません。建設業の方は、県知事許可のほうが使い勝手がよいことがほとんどです。

    なお許可は積む場所と降ろす場所の両方に必要です。県外へ持ち出すなら、その県の許可も要ります。

    容器はどこに書くのか

    兵庫県の様式は、品目、車両、容器、運搬時の措置が別々の面に分かれていて、対応させて書くことが求められます。

    • 第1面 取り扱う産業廃棄物の種類
    • 第2面 (1)運搬車両一覧、(2)その他の運搬施設の概要(ここに運搬容器)
    • 第4面 車両ごとの用途(どの車でどの品目を運ぶか)
    • 第5面 環境保全措置の概要(運搬に際し講ずる措置)
    • 第7面・第8面 運搬容器等の写真

    要領には「車両等については第2面と、取扱う産業廃棄物については第1面と対応させて記載してください」とあり、写真の面にも「第2面の記載と対応させてください」とあります。どこか一つだけを埋めても通りません。

    容器を書くのは「容器を使うとき」

    第2面(2)には次の注意書きがあります。

    飛散、流出を防止するため運搬容器等を使用するときは、それら容器について記載し、様式第6号の2第7面の写真も添付してください。

    裏を返せば、容器を使わない運び方なら書くものはありません。ダンプでがれき類を直積みしてシート掛けで運ぶ場合、飛散防止の手段はシートです。この場合は第5面に「飛散防止のため荷台にはシートがけを行う」と書きます。バキューム車のように車両自体が容器の役割を果たす場合も同じ考え方です。

    容器が要るのは、液状、粉状、においの強いものです。廃油、廃酸、廃アルカリ、汚泥、燃え殻、ばいじんなどが代表例です。

    そして必要な容器は許可品目から逆算して決まります。汚泥を品目に入れるならドラム缶などが要りますが、入れていないなら要りません。品目を広げるほど用意する容器も増えますので、当面運ばない品目まで入れるかどうかは容器の準備とセットで判断してください。

    第2面 容器の書き方

    欄は、運搬容器等の名称、用途、容量、備考の4つです。要領の記載例はこうなっています。

    コンテナ 用途は廃プラスチック類(石綿含有産業廃棄物を含む。)、木くず、がれき類(石綿含有産業廃棄物を含む。)、ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず(石綿含有産業廃棄物を含む。) 備考は「石綿含有産業廃棄物については、他の廃棄物と混ぜて使用しない。」

    ドラム缶 用途は廃油

    用途には第1面に書いた品目を記載します。第1面にない品目を容器の用途に書くことはできません。水銀使用製品産業廃棄物用容器、石綿含有産業廃棄物容器があれば記載します。

    第5面 運搬に際し講ずる措置

    要領の記載例です。

    • 飛散防止のため荷台にはシートがけを行う。
    • 石綿含有産業廃棄物は他の廃棄物と混ざらないように運搬する。外、「石綿含有廃棄物等処理マニュアル」を遵守する。
    • 水銀使用製品産業廃棄物は他の廃棄物と混ざらないように運搬する。外、「水銀廃棄物ガイドライン」を遵守する。
    • 水銀含有ばいじん等は必要に応じて蓋付の容器に入れて運搬する。外、「水銀廃棄物ガイドライン」を遵守する。
    • 液状の廃棄物はドラム缶に入れて運搬する。

    第7面・第8面 容器の写真

    1枚の用紙に2種類分の枠があり、3種類以上ある場合は用紙を複写して使います。各面に容器の名称と用途を書き、写真を貼り、撮影年月日を記入します。

    注意書きは次のとおりです。

    • 第2面の記載と対応させること
    • 容器等全体を撮影すること
    • 感染性廃棄物にかかる容器は、バイオハザードマーク付きの(または感染性廃棄物である旨を明記した)容器にすること
    • 蛍光灯専用容器以外で蛍光灯を運ぶ場合、明確に割れないと判断できる場合以外は、緩衝材等の工夫がなされていることがわかる写真を添付すること

    撮影年月日の欄がある様式ですので、実際に手元にある容器を撮って貼ることになります。持っていない容器の画像を借りて貼るのは避けてください。虚偽の申請は許可の取消しにつながります。

    建設業の方がいちばん引っかかるところ

    第2面の運搬車両一覧に、見落とすと痛い注意書きがあります。

    車検証等の備考欄に「積載物品は土砂等以外のものとする」等の表示がある場合には、がれき類、鉱さい、ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずは運搬できません(土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法)。

    解体現場のがれきを自社ダンプで運ぶつもりでも、車検証の備考欄の表示によっては、がれき類の許可を取っても積めません。記載例でも、備考に「土砂等積載禁止ダンプのため、がれき類の積載は行わない。」と書く形になっています。

    申請の前に、ご自身のダンプの車検証の備考欄を確認してください。

    もうひとつ、申請者と車検証の使用者(空欄の場合は所有者)が異なる場合は、別紙3「車両の貸借に関する証明書」の添付が必要です。借りた車やリース車を使う予定の方はご注意ください。

    よくあるつまずき

    • 姫路市内で完結しない仕事なのに、姫路市の許可を取ってしまう
    • 第1面、第2面、第4面の記載がずれている
    • 土砂等積載禁止ダンプであることに気づいていない
    • 容器も使わず、第5面にシート掛けの記載もない
    • 容器全体が写っていない、撮影年月日が空欄など、写真の不備
    • 他人名義の車両の貸借証明書が漏れている

    申請書類の入手先

    兵庫県知事許可の申請要領と様式は、兵庫県の電子申請システム(e-ひょうご)の申請書ダウンロードから入手できます。要領は改訂されますので、申請の際は必ず最新版をご確認ください。

    まとめ

    進め方はこの順番です。どこで積んでどこで降ろすかを整理して申請先を決める。品目を決める。運ぶ車両を決め、車検証の備考欄まで確認する。飛散流出を防ぐ手段(容器またはシート)を決める。容器を使うなら実物を用意して写真を撮る。

    行政書士なかお事務所では、姫路市の建設業許可申請とあわせて、産業廃棄物収集運搬業許可の申請もお受けしています。「県と市のどちらで取ればいいのか」「うちのダンプで運べるのか」といった段階のご相談でも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。

  • 法人なり直後でも建設業許可は取れる?決算未到来の場合の財産的要件の考え方

    個人事業主として建設業を営んでこられた方が法人成りをされた際、「決算がまだ来ていないけれど建設業許可を申請できるのか」というご相談をいただくことがあります。結論から言えば、法人設立後まだ一度も決算を迎えていない状態でも、建設業許可の申請は可能です。今回はその際のポイントを整理します。

    1.決算未到来でも申請できる理由

    建設業許可の財産的要件では、一般建設業の場合、自己資本の額が500万円以上あること、または500万円以上の資金調達能力があることが求められます。

    このうち自己資本の額は、通常であれば直前の決算期の財務諸表で確認します。しかし法人設立直後でまだ決算を迎えていない場合は、確認できる決算書が存在しません。そこで、決算未到来の新規設立法人については、別の資料によって財産的要件を確認する取扱いが定められています。

    2.資本金500万円以上で設立している場合

    最初の決算期が未到来の新規設立法人で、資本金の額が500万円以上である場合は、登記事項証明書(商業登記簿)の原本を提出することで財産的要件を証明できます。

    法人成りを検討している段階で建設業許可の取得も視野に入っているのであれば、資本金をいくらに設定するかは重要な判断ポイントです。設立時に500万円以上としておけば、登記事項証明書だけで財産的要件をクリアできるため、証明で悩む必要がなくなります。

    3.資本金が500万円未満の場合

    資本金を500万円未満で設立している場合は、登記事項証明書による証明ができません。この場合は、500万円以上の資金調達能力があることを証明する方法をとります。

    具体的には、金融機関が発行する預金残高証明書の原本を提出します。この際、次の条件を満たしている必要があります。

    • 500万円以上の残高等があること
    • 証明日や残高日が申請日前1か月以内であること

    証明日から1か月を過ぎてしまうと使えなくなりますので、申請書類一式の準備が整ってから残高証明書を取得するのが安全です。書類作成に時間がかかっている間に有効期間が切れてしまい、取り直しになるケースもあります。

    4.決算未到来の場合に記載を省ける書類

    法人設立後まだ決算を迎えていない場合、当然ながら決算数値や工事実績が存在しません。そのため、次の書類については内容の記載を省くことができます。

    • 損益計算書
    • 完成工事原価報告書
    • 株主資本等変動計算書及び注記表
    • 工事経歴書
    • 直前3年の各事業年度における工事施工金額

    これらは無記入のまま、「決算未到来のため実績ございません」とだけ記載して提出します。数字を無理に埋める必要はありません。

    なお、貸借対照表については設立時点の内容で作成して提出します。実績がないからといってすべての財務関係書類が不要になるわけではない点にご注意ください。

    5.個人事業主時代の経験は引き継げる

    法人成りをした場合、法人としての営業実績はまだありませんが、経営業務の管理責任者や専任技術者の要件については、個人事業主時代の経験を使って証明することができます。

    経営業務の管理責任者

    個人事業主として建設業を営んでいた期間は、経営経験として扱うことができます。証明には当時の確定申告書や、建設業を営んでいたことが分かる工事請負契約書、請求書などを使用します。

    専任技術者

    個人事業主時代に実際に工事に従事していた期間は、実務経験として扱うことができます。証明には請負工事の請求書などを使用し、あわせて在職期間を裏付ける資料を用意します。

    つまり法人としては新設であっても、代表者ご自身の経験年数が積み上がっていれば、要件を満たせるケースは多くあります。

    6.注意しておきたい点

    社会保険への加入

    法人になると社会保険への加入義務が生じます。建設業許可の申請では適切な社会保険への加入状況も確認されますので、設立後は早めに手続きを進めておきましょう。

    決算期の設定

    設立時に決める決算期は、その後の決算変更届の提出時期にも影響します。繁忙期と重ならないように設定しておくと、毎年の手続きが進めやすくなります。

    まとめ

    法人成り直後で決算を迎えていない場合でも、登記事項証明書や預金残高証明書によって財産的要件を証明することで、建設業許可の申請は可能です。個人事業主時代の経験も活かせますので、法人成りを機に許可の取得を検討される場合は、資本金の設定など早い段階からの準備が有効です。

    法人成りにあわせて建設業許可の取得を検討されている方は、お気軽にご相談ください。

  • 決算変更届(事業年度終了届)とは?提出期限と必要書類を姫路の行政書士が解説

    建設業許可を取ったあと、多くの事業者さんがうっかり忘れてしまう手続きがあります。それが「決算変更届」です。

    許可は取って終わりではなく、毎年の決算ごとに書類を出し続けることではじめて維持できます。この届出をためてしまうと、5年後の更新のときに一気に何年分もの書類を作ることになり、費用も手間も大きく膨らみます。

    この記事では、姫路市で建設業許可を専門に扱っている行政書士が、決算変更届の中身、提出期限、必要書類、姫路市での提出先、出さなかった場合にどうなるかまでを、個人事業主や小さな会社の方にもわかりやすい形でまとめました。

    決算変更届とは何か

    決算変更届は、建設業許可を持っている事業者が、毎事業年度が終わるたびに、その年度の工事実績と決算内容を許可行政庁に報告する届出です。

    正式には「事業年度終了届」「決算報告」などと呼ばれることもありますが、指しているものは同じです。建設業法にもとづく届出であり、許可業者であれば規模の大小を問わず、法人でも個人事業主でも、すべての業者に義務があります。

    ここで大事なのは、これが「変更があったときだけ出すもの」ではないという点です。会社の内容に何の変更がなくても、決算が来れば毎年必ず出さなければなりません。名前に「変更届」と入っているせいで、変わったことがないから出さなくてよいと勘違いされる方が非常に多い手続きです。

    なぜ毎年報告させるのかというと、建設業許可の業者情報は、発注者や取引先が閲覧できる制度になっているためです。どんな工事をどれくらいの規模で行っているのか、財務状態はどうなっているのかを、公の情報として最新の状態に保つ、というのがこの届出の狙いです。

    提出期限は事業年度終了後4ヶ月以内

    決算変更届の提出期限は、毎事業年度が終了した後4ヶ月以内です。

    たとえば3月31日決算の会社であれば、7月31日までが期限になります。12月31日決算の個人事業主であれば、翌年の4月30日までです。

    法人の場合は、株主総会や決算の確定を待ってから作業に入ることになるため、実際に使える時間は思っているより短くなります。個人事業主の場合も、確定申告が終わってから取りかかると期限まであまり余裕がありません。決算が固まった段階で早めに準備を始めるのが安全です。

    なお、4ヶ月を過ぎてしまったからといって受け付けてもらえなくなるわけではありません。遅れた分は遅れた分としてまとめて提出することになります。ただし後述するとおり、ためればためるほど負担は重くなります。気づいた時点でできるだけ早く出すのが正解です。

    提出する書類

    提出書類は法人か個人かで少し変わります。以下は兵庫県知事許可の場合の基本的な内容です。

    法人と個人に共通するもの

    変更届出書。表紙にあたる書類で、様式は別紙8です。

    工事経歴書。その事業年度中に完成した工事の内容を記載します。様式第2号です。

    直前3年の各事業年度における工事施工金額。過去3年分の施工金額を業種ごとに記載します。様式第3号です。

    事業税の納税証明書(1)。兵庫県知事許可の場合、法人は法人事業税、個人は個人事業税のものになります。県税事務所で取得します。

    法人の場合に必要なもの

    貸借対照表(様式第15号)、損益計算書および完成工事原価報告書(様式第16号)、株主資本等変動計算書(様式第17号)、注記表(様式第17号の2)が必要です。

    これに加えて、資本金の額が1億円を超える場合、または最終事業年度の貸借対照表の負債の合計額が200億円以上の場合は、附属明細表(様式第17号の3)も提出します。小さな会社であれば通常は不要な書類です。

    また、株式会社の場合は事業報告書も提出します。これは任意様式とされており、決まった書式が指定されているわけではありません。合同会社などの持分会社では不要です。

    個人事業主の場合に必要なもの

    貸借対照表(様式第18号)と損益計算書(様式第19号)です。法人に比べると必要な様式は少なくなります。

    各様式は兵庫県のホームページからエクセル形式でダウンロードできます。

    税務署に出した決算書をそのまま使うことはできない

    決算変更届でいちばんつまずきやすいのが、この財務諸表の部分です。

    顧問税理士さんが作った決算書、あるいは自分で作った確定申告書の決算書を、そのままコピーして出せばよいと考えてしまいがちですが、それはできません。建設業法で定められた様式に、数字を組み替えて作り直す必要があります。

    たとえば、税務上の決算書では「売上高」とひとまとめになっている金額を、建設業の財務諸表では「完成工事高」と「兼業事業売上高」に分けて記載します。同じように、原価も「完成工事原価」と「兼業事業売上原価」に分けます。建設業以外の売上、たとえば物販や不動産賃貸などがある事業者さんは、この切り分けが必要になります。

    さらに、完成工事原価報告書では、原価を材料費、労務費、外注費、経費に区分して記載します。税務上の決算書ではここまで細かく分けていないことも多く、内訳を確認しながら振り分ける作業が発生します。

    会計や税務にあまり詳しくない方が、この組み替えを独力でやろうとすると、かなり時間がかかる部分です。

    工事経歴書の書き方で気をつけたいこと

    工事経歴書は、その年度に完成した工事を並べて書く書類です。ここでも間違いが起こりやすいポイントがあります。

    まず、許可を受けている業種ごとに1枚ずつ作成します。2業種の許可を持っていれば2枚必要です。

    記載する工事の範囲や並べ方には決められたルールがあります。経営事項審査を受けるかどうかによっても書き方が変わってきます。経審を受けない場合は主な工事を請負金額の大きい順に記載していく形が基本ですが、細かい記載要領は必ず確認したうえで作成してください。

    また、請負金額を消費税込みで書くのか、税抜で書くのかという点もよく質問をいただきます。経営事項審査を受けない場合は、税込と税抜のどちらで記載してもかまいません。ただし、工事経歴書だけの話ではなく、財務諸表など一緒に提出する他の書類とも扱いをそろえる必要があります。工事経歴書は税込、財務諸表は税抜というようにばらばらになっていると、完成工事高の数字が合わなくなり、指摘を受けることになります。どちらにするかを決めたら、届出書類全体で統一してください。一方、経営事項審査を受ける場合は選択の余地がなく、必ず税抜(税別)で記載します。ただし消費税の免税事業者は税込で記載することになります。将来的に公共工事を考えていて経審を受ける予定がある方は、最初から税抜で作っておいたほうが後々の手間が少なくなります。

    もうひとつ、500万円未満のいわゆる軽微な工事しか行わなかった年度であっても、決算変更届自体は必要です。工事が少なかった年、あるいは工事がまったくなかった年でも、その内容で届出をします。売上がなかったから出さなくていい、ということにはなりません。

    姫路市での提出先

    決算変更届は、主たる営業所の所在地を管轄する土木事務所に提出します。兵庫県庁では受け付けていません。

    姫路市に主たる営業所がある事業者の場合、提出先は中播磨県民センター姫路土木事務所建設業課です。新規許可申請や更新申請と同じ窓口になります。

    なお、決算変更届には手数料はかかりません。届出そのものは無料です。かかるのは納税証明書の取得費用や、行政書士に依頼した場合の報酬ということになります。

    出さないとどうなるか

    決算変更届を出さずにためてしまうと、いくつもの不都合が出てきます。

    まず、許可の更新ができません。5年ごとの更新申請を受け付けてもらう前提として、それまでの各年度の決算変更届がすべて提出されていることが必要になります。更新の直前になって、4年分5年分の財務諸表と工事経歴書をまとめて作ることになり、費用も時間も一気に膨らみます。更新期限が迫った状態でこれをやると、間に合わずに許可が失効するおそれもあります。

    次に、業種追加や般特新規といった、その後の申請ができません。仕事の幅を広げようとして業種を増やしたくなったときに、決算変更届が未提出だとそこで止まってしまいます。

    公共工事を受注するために経営事項審査を受ける場合も、決算変更届の提出が前提になります。決算変更届を出していない年度については経審を受けられません。

    さらに、建設業法には届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合の罰則が定められています。あわせて、指示処分などの監督処分の対象にもなり得ます。実際に未提出だけを理由にすぐ処分される例は多くありませんが、法律上の義務であることに変わりはありません。

    そしてもうひとつ、見落とされがちなのが信用の問題です。建設業許可業者の届出内容は閲覧できる仕組みになっているため、元請や取引先がそれを確認することがあります。最新の届出がないと、きちんと管理されていない業者という印象を与えかねません。

    よくあるご質問

    赤字決算でも出す必要がありますか。
    必要です。決算の内容がよくても悪くても、届出の義務は変わりません。赤字であることを理由に許可が取り消されるわけでもありません。ただし、財産的基礎の要件は更新時に改めて確認されるため、自己資本の状況には注意が必要です。

    工事の売上がゼロの年度でも出しますか。
    出します。工事実績がない旨の内容で作成して提出します。

    決算日を変更した場合はどうなりますか。
    決算期を変更したときは、変更後の事業年度終了後4ヶ月以内が期限になります。変更した最初の年度は期間が通常より短くなったり長くなったりしますので、期限の計算に注意してください。あわせて、定款変更などにともなう他の届出が必要になる場合もあります。

    税理士に頼めばやってもらえますか。
    税務申告と決算変更届は別の手続きです。建設業許可の届出は行政書士の業務になりますので、税理士さんが作った決算書をもとに、行政書士が建設業法の様式に組み替えて作成する、という流れが一般的です。

    準備をラクにするために

    決算変更届を毎年スムーズに出すために、日ごろからできることがあります。

    ひとつは、工事の記録を年度単位で残しておくことです。工事名、発注者、工事場所、請負金額、着工と完成の時期がわかるようにしておけば、工事経歴書の作成がぐっと楽になります。請求書や契約書をその都度ファイルしておくだけでもかなり違います。

    もうひとつは、建設業の売上とそれ以外の売上を、日常の経理の段階で分けておくことです。あとから分けようとすると手間がかかりますが、最初から区分していれば財務諸表の組み替えが簡単になります。顧問税理士さんがいる場合は、建設業許可を持っていて毎年届出が必要であることを伝えておくとよいでしょう。

    そして、決算が確定したら早めに動くことです。4ヶ月あると思っていると、納税証明書の取得や書類のやりとりであっという間に時間が過ぎます。

    まとめ

    決算変更届は、建設業許可を維持するために毎年必ず必要な手続きです。事業年度終了後4ヶ月以内という期限があり、法人でも個人事業主でも、工事の有無にかかわらず提出しなければなりません。

    税務署に出した決算書をそのまま使えず、建設業法の様式に組み替える作業が必要になるため、慣れていないと思った以上に時間がかかります。ためてしまうと更新や業種追加ができなくなり、あとから何年分もまとめて作ることになります。

    もし何年分か出せていない状態になっていても、遡って作成すれば対応できます。更新期限が迫る前に手を打てば十分に間に合いますので、心当たりのある方は早めにご相談ください。

    行政書士なかお事務所では、姫路市を中心に建設業許可の新規申請、更新、業種追加、決算変更届の作成と提出代行を承っています。決算変更届が何年分かたまってしまっている、財務諸表の組み替えがよくわからない、といったご相談もお気軽にどうぞ。地域に密着した個人事務所として、一件一件ていねいに対応いたします。

  • とび・土工・コンクリート工事業の建設業許可|対象になる工事・つまずきやすい注意点

    姫路市で建設業許可の申請をお手伝いしていると、「うちは足場屋だから、とび・土工の許可でいいんですよね」というご相談をよくいただきます。実はこの業種、名前から想像するよりもはるかに守備範囲が広く、そのぶん「どの業種で取るべきか」を間違えやすい業種でもあります。

    この記事では、とび・土工・コンクリート工事業の許可について、対象になる工事、許可の要件、そして実務でつまずきやすいポイントを、個人事業主や小さな会社の方に向けて整理しました。

    とび・土工・コンクリート工事業とはどんな業種か

    建設業法上、建設工事は29業種に分けられており、その内容は昭和47年3月8日建設省告示第350号で定められています。とび・土工・コンクリート工事は、この告示で次の5つに分類されています。

    • イ 足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物のクレーン等による運搬配置、鉄骨等の組立て等を行う工事
    • ロ くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事
    • ハ 土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事
    • ニ コンクリートにより工作物を築造する工事
    • ホ その他基礎的ないしは準備的工事

    ポイントは最後の「ホ その他基礎的ないしは準備的工事」です。ここが非常に幅広く、他の28業種のどれにも当てはまらない基礎的・準備的な工事の多くが、この業種に流れ込んでくる構造になっています。

    具体的にどんな工事が該当するのか

    国が示している例示は次のとおりです。ご自身の仕事がどこに入るか、確認してみてください。

    • イ とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物のクレーン等による揚重運搬配置工事、鉄骨組立て工事、コンクリートブロック据付け工事
    • ロ くい工事、くい打ち工事、くい抜き工事、場所打ぐい工事
    • ハ 土工事、掘削工事、根切り工事、発破工事、盛土工事
    • ニ コンクリート工事、コンクリート打設工事、コンクリート圧送工事、プレストレストコンクリート工事
    • ホ 地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウト工事、土留め工事、仮締切り工事、吹付け工事、法面保護工事、道路付属物設置工事、屋外広告物設置工事、捨石工事、外構工事、はつり工事、切断穿孔工事、アンカー工事、あと施工アンカー工事、潜水工事

    足場屋さん、土工屋さん、生コン圧送屋さんはもちろん、地盤改良、法面工事、外構工事、はつり・コア抜き、あと施工アンカー、ガードレールや道路標識の設置、屋外広告物の設置、潜水作業まで、この一つの業種に含まれます。

    意外と知られていない「これも、とび・土工」

    上の例示に名前が出てこない工事でも、とび・土工・コンクリート工事として扱われるものがあります。相談の現場でよく話題になるのが次の3つです。

    ベタ基礎工事などの建築物の基礎工事

    掘削をして、型枠を組み、コンクリートを打設して基礎を築造する工事は、告示でいう「ニ コンクリートにより工作物を築造する工事」に当たります。住宅のベタ基礎工事を専門にされている方は、建築一式ではなく、とび・土工・コンクリート工事業が該当する業種になります。

    外構工事

    駐車場の土間コンクリート、ブロック積み、境界まわりの造作といった外構工事は、例示にもはっきり「外構工事」と書かれています。エクステリア専門でやっておられる方も、許可を取るならこの業種です。

    システムキッチン・システムバス(ユニットバス)の設置工事

    意外に思われるかもしれませんが、こうした住宅設備の据付け工事も、とび・土工・コンクリート工事に該当します。工事の主たる内容が「据え付けて、アンカー等で固定する」ことであるためで、告示でいう「ホ その他基礎的ないしは準備的工事」に位置づけられます。この点は、姫路市の申請窓口である中播磨県民局でも同様の取扱いであることを確認しています。あわせて行う給排水の接続や電気の結線は、原則として附帯工事の扱いです。ただし、大規模なリフォームで配管の引き直しそのものが工事の主たる部分になる場合は、管工事と判断されることがあります。

    つまり、ご自身では「うちは基礎屋」「うちは外構屋」「うちは水まわりの入替屋」と思っていても、許可の上ではとび・土工・コンクリート工事業になるケースが非常に多い、ということです。

    間違えやすい業種の区分

    とび・土工・コンクリート工事業でいちばん相談が多いのが、隣の業種との線引きです。国土交通省の建設業許可事務ガイドラインでは、次のように整理されています。

    鉄骨工事との区分

    鉄骨の製作・加工から現場での組立てまでを一貫して請け負う場合は鋼構造物工事業になります。加工済みの鉄骨を現場で組み立てるだけであれば、とび・土工・コンクリート工事業です。

    コンクリートブロックの工事との区分

    土木工事における規模の大きいコンクリートブロックの据付けや、プレキャストコンクリートの柱・梁などの部材の設置工事は、とび・土工・コンクリート工事業です。一方、建築物の内外装や法面処理、擁壁として行うブロック積み・張りは石工事業、コンクリートブロックで建築物そのものを建てる工事はタイル・れんが・ブロック工事業になります。

    プレストレストコンクリート工事との区分

    橋梁など、土木工作物を総合的に建設するプレストレストコンクリート構造物工事は、土木一式工事業に該当します。

    吹付け工事との区分

    法面処理などのためのモルタル吹付け・種子吹付けは、とび・土工・コンクリート工事業です。建築物に対するモルタル等の吹付けは左官工事業になります。

    屋外広告物の工事との区分

    現場での製作・加工から設置までを一貫して請け負う場合は鋼構造物工事業、設置のみであればとび・土工・コンクリート工事業です。

    防水工事との区分

    トンネル防水工事などの土木系の防水工事は、とび・土工・コンクリート工事業に含まれます。防水工事業に該当するのは建築系の防水工事です。

    この区分を誤ったまま申請すると、審査の段階で業種の変更を求められ、集めた実務経験の資料が使えなくなることもあります。最初の業種選びは慎重に行ってください。

    解体工事は「とび・土工」では請け負えません

    これは特に注意していただきたい点です。

    平成28年6月1日に「解体工事業」が29番目の業種として新設され、工作物の解体工事はとび・土工・コンクリート工事業から切り離されました。それまでの許可業者向けの経過措置も令和元年5月31日で終了しています。

    つまり現在は、とび・土工・コンクリート工事業の許可だけでは、500万円以上の解体工事を請け負うことはできません。解体を業務として行うのであれば、解体工事業の許可を別途取得する必要があります。

    なお500万円未満の解体工事であっても、建設リサイクル法に基づく解体工事業者の登録が別に必要です。「軽微な工事だから何もいらない」と誤解されている方が多いところなので、あわせてご確認ください。

    どこから許可が必要になるのか

    請負金額が500万円未満(税込)の工事は「軽微な建設工事」として、許可がなくても請け負えます。とび・土工・コンクリート工事業には、建築一式工事のような1500万円という例外はありませんので、500万円が唯一の基準です。

    ただ実際には、金額に関係なく、元請から「許可がないと入れない」と言われて取得されるケースが非常に多い業種です。足場やくい打ち、圧送、地盤改良などは大手ゼネコンや公共工事の現場に入る機会が多く、下請として選ばれる条件に許可が入っているためです。

    許可を取るための要件

    一般建設業の知事許可を取る場合、次の要件をすべて満たす必要があります。

    1 常勤役員等(旧・経営業務の管理責任者)がいること
    建設業の経営経験が原則5年以上ある人が、常勤の役員または個人事業主本人として在籍していることが必要です。

    2 営業所技術者(旧・専任技術者)がいること
    令和6年12月の建設業法改正により、これまで「専任技術者」と呼ばれていた役職は「営業所技術者」という名称になりました。呼び方が変わっただけで、営業所ごとに技術者を常勤で置くという考え方そのものは変わっていません。要件は次の項目で詳しく説明します。

    3 誠実性があること
    請負契約に関して不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと。

    4 財産的基礎があること
    自己資本が500万円以上あること、または500万円以上の資金調達能力があること(金融機関の残高証明書などで証明します)。

    5 欠格要件に該当しないこと
    役員等が過去に許可の取消しを受けている、暴力団関係者である、といった事情がないこと。

    6 適切な社会保険に加入していること
    健康保険、厚生年金保険、雇用保険への加入が許可の要件になっています。

    営業所技術者になれる資格

    とび・土工・コンクリート工事業で使える主な資格は次のとおりです。

    • 1級建設機械施工管理技士
    • 2級建設機械施工管理技士(第1種から第6種)
    • 1級土木施工管理技士
    • 2級土木施工管理技士(土木)
    • 1級建築施工管理技士
    • 2級建築施工管理技士(躯体)
    • 技術士(建設部門、総合技術監理部門のうち建設)
    • とび、とび工(技能検定1級)
    • とび、とび工(技能検定2級、合格後3年の実務経験が必要)
    • 型枠施工(技能検定1級)
    • 型枠施工(技能検定2級、合格後3年の実務経験が必要)
    • コンクリート圧送施工(技能検定1級)
    • コンクリート圧送施工(技能検定2級、合格後3年の実務経験が必要)
    • ウェルポイント施工(技能検定1級)
    • ウェルポイント施工(技能検定2級、合格後3年の実務経験が必要)
    • 地すべり防止工事士

    技能検定の2級は、合格後に一定の実務経験が求められる点に注意してください。また2級土木施工管理技士なども、種目や合格時期によって扱いが異なる場合があります。上記以外にも使える資格がありますので、お手元の資格が使えるかどうか判断がつかない場合は、兵庫県の有資格コード一覧で確認するか、当事務所にお問い合わせください。

    資格がない場合は実務経験10年

    該当する資格がなくても、とび・土工・コンクリート工事に関する10年以上の実務経験があれば営業所技術者になれます。土木工学や建築学などの指定学科を卒業している場合は、高校卒業で5年、大学卒業で3年に短縮されます。

    ただ、実務経験ルートで難しいのは「証明」です。10年分の工事を、請求書や請負契約書といった客観的な資料で切れ目なく示す必要があります。とび・土工・コンクリート工事業は一人親方や少人数の会社が多く、古い書類が残っていないことも珍しくありません。

    もし今、資料が手元にあるうちに動けるのであれば、その段階でご相談いただくのが安全です。書類を探す作業からお手伝いできます。

    一般建設業と特定建設業の区分

    元請として工事を受注し、下請に出す金額が一定額以上になる場合は、特定建設業の許可が必要です。この金額要件は令和7年2月1日に引き上げられました。

    • 改正前 4500万円(建築工事は7000万円)
    • 改正後 5000万円(建築工事は8000万円)

    とび・土工・コンクリート工事業の場合は5000万円が基準になります。下請専門で仕事をされている場合や、下請に出さない場合は、一般建設業の許可で問題ありません。

    なお、とび・土工・コンクリート工事業は指定建設業(土木一式、建築一式、電気、管、鋼構造物、舗装、造園の7業種)には含まれていないため、特定建設業の技術者要件についても、1級資格のほかに指導監督的な実務経験によるルートが認められています。

    姫路市で申請する場合の窓口

    姫路市内にのみ営業所がある場合は、兵庫県知事許可となり、申請窓口は中播磨県民センター姫路土木事務所建設業課です。申請書類は兵庫県のホームページからダウンロードでき、手引きも公開されています。

    ただ、とび・土工・コンクリート工事業は業種の区分が複雑で、実務経験の証明にも手間がかかります。書類を作る前に、そもそもどの業種で申請すべきか、手元の資料で証明できるかを整理しておくことが、遠回りしないコツです。

    まとめ

    とび・土工・コンクリート工事業は、足場や土工だけでなく、ベタ基礎、外構、地盤改良、法面、はつり、アンカー、道路付属物、さらにはシステムキッチンやシステムバスの設置まで含む、非常に幅広い業種です。そのぶん、鋼構造物工事や石工事、土木一式工事との線引きを誤りやすく、また解体工事が別業種であることを見落としやすい業種でもあります。

    行政書士なかお事務所では、姫路市を中心に建設業許可の申請をお手伝いしています。「うちの仕事はどの業種になるのか」「実務経験で許可が取れるか」といった段階からのご相談も歓迎です。お気軽にお問い合わせください。

  • 建設業許可における営業所とは?認められる要件と自宅を事務所にする場合の注意点

    建設業許可の申請では、営業所の要件を満たしているかどうかが必ず確認されます。「事務所らしきものがあれば大丈夫だろう」と考えていると、申請の段階で指摘を受けることもあります。今回は、建設業許可でいう営業所の考え方と、認められるための要件について整理します。

    1.建設業法でいう営業所とは

    建設業法上の営業所とは、本店や支店、常時建設工事の請負契約を締結する事務所のことを指します。単に建設業に関する何らかの業務を行っているだけの場所は該当せず、請負契約の見積り、入札、契約締結などを実際に行っている場所であることが必要です。

    そのため、資材置場や作業員の詰所、単なる登記上の本店だけで実態のない場所などは、原則として営業所には該当しません。

    2.営業所として認められるための主な要件

    営業所として認められるには、一般的に次のような点が確認されます。

    • 外部から来客を迎え入れ、請負契約の締結などの業務を行える場所であること
    • 事務所としての形態が整っていること(机、椅子、電話、事務機器などの設備があること)
    • 居住スペースなど他の用途の空間と、明確に区分されていること
    • その場所を継続して使用する権限を有していること(自己所有または賃貸借契約など)
    • 経営業務の管理責任者または一定の権限を持つ者、および専任技術者が常勤していること

    3.営業所の確認資料として提出するもの

    申請の際には、営業所の使用権限と使用実態の両面について、確認資料の提出が必要です。

    使用権限に係る確認資料

    自社(個人事業主)所有の場合は、不動産(家屋)の登記簿謄本(原本、3か月以内のもの)を提出します。

    賃貸の場合は、営業所の賃貸借契約書や使用承諾書等を提出します。

    使用実態に係る確認資料

    営業所の形態が確認できる写真を提出します。撮影が必要な箇所は次のとおりです。

    • 営業所の建物外観
    • 入口付近
    • 看板(屋号がわかるもの)
    • ポスト
    • 営業所の事務室や応接室等の内部

    このほか、営業所にする建物の平面図もあわせて提出します。自宅を営業所とする場合の平面図については、後ほど詳しくご説明します。

    4.賃貸物件を営業所とする場合の注意点

    賃貸物件を営業所とする場合は、賃貸借契約書で使用権限を証明します。このとき、実務上よく問題になるのが次の2点です。

    • 契約書に仲介した宅地建物取引士の押印があるか
    • 契約書の使用目的が事業用になっているか

    契約書の使用目的が居住用となっている場合は、そのままでは営業所として認められません。この場合は、貸主から別途、事業用としての使用を認める使用承諾書を作成してもらう必要があります。使用承諾書の様式は自由ですので、貸主に事情を説明して協力を得ることになります。

    賃貸物件で営業所を検討している場合は、契約前の段階で使用目的を事業用にできるか確認しておくと、後の手続きがスムーズです。

    5.自宅を営業所にできるか

    個人事業主の方や小規模な法人の場合、自宅の一部を営業所として申請したいというご相談は多くあります。自宅を営業所とすること自体は可能ですが、居住スペースと事業用スペースを明確に分けることが前提になります。

    区分の方法としては、パーティションで区切る方法もありますが、もっとも確実なのは部屋そのものを分けることです。一部屋をまるごと営業所として使う形にできれば、区分がはっきりして確認もスムーズに進みます。

    また、営業所の入り口ドアには「営業所」と表示しておきます。あわせて、建物の入り口(玄関)から営業所の部屋までの経路が分かる写真も求められますので、動線に沿って順番に撮影しておきましょう。

    さらに、建物内のどこに営業所の部屋があるのかを示す平面図も必要です。玄関から営業所までの経路が分かるように記載します。この平面図は手書きで問題ありませんので、間取りと動線が伝わるように書けば十分です。

    6.営業所の写真を撮る際のポイント

    写真は撮り直しが発生しやすい部分です。次の点に注意して撮影してください。

    写真に必ず写っていなければならないもの

    • パソコン
    • 電話機・FAX
    • 事務机
    • 椅子(来客用を含めて最低2脚)
    • キャビネット等の書類保管設備

    写らないようにするもの

    事業に関係のない私用の備品は、写真に入らないようにします。ピアノ、ぬいぐるみ、洗濯物などが写り込んでいると、営業所としての実態を疑われる原因になります。撮影前に一度、部屋全体を見回して片付けておくことをおすすめします。

    看板やポストは撮り忘れが起こりやすい箇所です。現地に行った際に、必要な箇所をまとめて撮影しておくと二度手間を防げます。

    7.営業所を移転した場合は届出が必要

    営業所の所在地を移転した場合や、営業所を新設、廃止した場合は、変更届の提出が必要です。届出を怠ると、実態と許可内容が食い違った状態になってしまうため、移転が決まった段階で早めに手続きの準備を進めることをおすすめします。

    まとめ

    建設業許可における営業所は、実際に請負契約に関する業務を行える実態があるかどうかが重要です。自宅を営業所にできるか判断がつかない、写真や書類の準備方法を相談したいという場合は、お気軽にご相談ください。

  • 建設業許可の欠格要件とは?執行猶予・罰金刑の扱いを解説

    建設業許可には、いくつかの要件があります。経営業務の管理責任者がいること、専任技術者がいること、財産的基礎があること。これらは「満たさなければならない要件」です。

    一方で、欠格要件は「該当してはいけない要件」です。建設業法第8条に定めがあり、ひとつでも当てはまると許可は受けられません。他の要件をすべて満たしていても、欠格要件に該当した時点で不許可になります。

    1.欠格要件の全体像

    欠格要件は、大きく2つに分かれます。

    ひとつめは、許可申請書またはその添付書類の中に、重要な事項について虚偽の記載があるとき、または重要な事実の記載が欠けているときです。

    ふたつめは、申請者本人、役員等、政令で定める使用人が、建設業法第8条各号のいずれかに該当するときです。主なものは、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、不正の手段により許可を受けたことなどにより許可を取り消され取消しの日から5年を経過しない者、営業の停止を命ぜられその期間が経過しない者、拘禁刑以上の刑に処せられ刑の執行を終わりまたは執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者、一定の法令に違反して罰金の刑に処せられ5年を経過しない者、暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者などです。

    なお、古い書籍や解説では「成年被後見人もしくは被保佐人」が欠格要件として挙げられていることがありますが、令和元年の法改正で削除されており、現在は「心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの」に置き換わっています。

    また、令和7年6月1日施行の刑法改正により、懲役と禁錮は「拘禁刑」に一本化されました。それ以前の判決は「懲役」「禁錮」と表記されますが、建設業許可の取扱いに違いはありません。

    2.執行猶予付きの判決は欠格要件に該当します

    たとえば「懲役1年、執行猶予4年」という判決を受けたとします。この場合、刑務所に入ることはありませんが、建設業許可の欠格要件には該当します。

    理由はシンプルです。条文は「刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から」と書かれています。執行猶予は、刑の執行が先送りされている状態です。執行が終わったわけでも、受けることがなくなったわけでもありません。したがって、猶予期間中はまだこの条文の起算点にすら到達していない、という整理になります。

    つまり、判決が確定した日から執行猶予期間が満了するまでの間は、ずっと欠格要件に該当し続けます。上の例であれば4年間です。この期間中は、新規に建設業許可を取ることができません。

    3.執行猶予が明ければ、その時点で欠格ではなくなります

    ここが一番誤解の多いところです。

    「執行猶予が明けてから、さらに5年待つ必要があるのではないか」とご心配される方が非常に多いのですが、そうではありません。

    刑法第27条に「刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う」という規定があります。執行猶予を無事に終えると、刑の言い渡しそのものが法律上なかったことになるのです。

    「刑に処せられた」という事実が法律上消えるわけですから、建設業法第8条第7号の「5年」のカウントは、そもそも始まりません。執行猶予期間が満了した時点で、欠格要件から外れます。

    実刑判決と比べると、違いがはっきりします。懲役1年・執行猶予4年の場合、判決確定から4年後に欠格解消となります。懲役1年の実刑の場合、刑期を終えて出所し、そこからさらに5年を経過してはじめて欠格解消となり、あわせておよそ6年です。

    4.罰金刑の場合は、罪名によって扱いが変わります

    拘禁刑以上の刑は罪名を問わず欠格要件になりますが、罰金刑は違います。建設業法第8条第8号が対象としている法令は限られています。

    対象は、建設業法そのもの、建築基準法・盛土規制法・都市計画法・景観法・労働基準法・職業安定法・労働者派遣法の特定の規定、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、そして刑法の一部の罪(傷害、現場助勢、暴行、凶器準備集合及び結集、脅迫、背任)と暴力行為等処罰に関する法律の罪です。

    これらの法令に違反して罰金刑を受けると、罰金を納付した日から5年間、欠格要件に該当します。

    逆に言えば、ここに挙がっていない法律に違反して罰金を受けても、建設業許可の欠格要件には該当しません。たとえば道路交通法は含まれていません。酒気帯び運転で罰金50万円という判決を受けたとしても、罰金刑にとどまるかぎり建設業許可には影響しないことになります。

    一方で、同じ飲酒運転でも懲役刑(拘禁刑)が言い渡されれば、執行猶予が付いていても欠格要件に該当します。同じ出来事でも、判決の内容によって結論が正反対になるということです。判決を受けた際は、罪名だけでなく「刑の種類」を必ずご確認ください。

    5.誰が欠格要件の審査対象になるのか

    会社の従業員が判決を受けたからといって、直ちに許可に影響するわけではありません。

    兵庫県の手引では、審査の対象は「申請者、役員等又は政令で定める使用人」と整理されています。政令で定める使用人、いわゆる令3条使用人とは、支配人および支店または常時建設工事の請負契約を締結する営業所の代表者のことです。支店長や営業所長がこれに当たります。

    なお、建設業許可事務ガイドラインでは、相談役や顧問、総株主の議決権の100分の5以上を有する株主なども、法人に対して業務執行役員と同等以上の支配力を有すると認められる場合には「役員等」に含まれるとされています。登記上の肩書ではなく実質で判断されるということです。

    現場の職人さんや事務員の方が判決を受けても、許可そのものには影響しません。

    6.すでに建設業許可を持っている場合はどうなるか

    役員等が欠格要件に該当した場合、建設業法第29条第1項第2号により、許可は取り消されます。これは行政庁の裁量ではなく、必ず取り消される性質のものです。

    ただし、欠格要件に該当したことによる取消しは、取消しを理由とする5年間の再取得制限の対象ではありません。執行猶予期間が満了して欠格要件が解消すれば、あらためて新規申請をすることができます。

    とはいえ、許可が取り消されている間は、500万円以上(税込。建築一式工事は1,500万円以上)の工事を請け負えなくなります。事業への影響は決して小さくありませんので、判決が見込まれる段階で、役員から外れるなどの対応を検討すべきケースもあります。

    7.よくあるご質問

    Q.執行猶予の起算日はいつからですか
    A.判決が言い渡された日ではなく、判決が確定した日から起算します。控訴期間である14日が経過した時点で確定します。

    Q.前科があること自体は許可に影響しますか
    A.刑の執行を終えて所定の期間が経過していれば、前科があること自体は欠格要件になりません。

    Q.申告しなければわからないのではないですか
    A.許可行政庁は関係機関からの通知等によって把握します。虚偽の申請をした場合は、不正の手段により許可を受けたものとして取り消され、そちらは取消しの日から5年間、再取得ができなくなります。

    Q.執行猶予中に会社を設立して許可を取ることはできますか
    A.その方が役員や令3条使用人に就任すれば、会社としても欠格要件に該当します。名義だけ他の方にして実質的に経営に関与するようなことは、許可の取消しにつながりますのでお勧めできません。

    8.まとめ

    執行猶予付きであっても、拘禁刑(懲役・禁錮)以上の刑であれば建設業許可の欠格要件に該当します。罪名は問われません。

    ただし、執行猶予期間を無事に満了すれば、刑の言い渡しが効力を失うため、その時点で欠格要件から外れます。さらに5年を待つ必要はありません。

    罰金刑については、建設業法第8条第8号に列挙された法令に違反した場合に限って欠格要件となります。道路交通法は含まれていません。

    ご自身のケースで判断に迷われる場合は、判決の内容を確認したうえで、申請の時期を逆算して準備を進めることが大切です。行政書士なかお事務所では、姫路市を中心に建設業許可の申請代行を行っております。「いつから申請できるのか」「今の状況で許可が取れるのか」といった段階からのご相談も承っております。

  • 建設業許可はいくらの工事から必要?500万円のラインと軽微な工事の判断基準

    「建設業許可がないと工事はできないのか」というご質問をよくいただきます。結論から言えば、一定金額未満の工事であれば許可がなくても請け負うことができます。ただし、その判断基準を誤ると無許可営業になってしまうため、正しく理解しておくことが大切です。

    1.許可が不要な「軽微な建設工事」とは

    建設業法では、次の範囲内の工事を軽微な建設工事とし、建設業許可がなくても請け負えるとしています。

    • 建築一式工事以外の工事 … 工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事
    • 建築一式工事 … 工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事、または延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅工事

    つまり、一般的な専門工事であれば500万円が一つのラインになります。

    2.金額の数え方で見落としやすいポイント

    500万円という金額の判断では、次の点に注意が必要です。

    • 消費税を含んだ金額で判断します
    • 注文者が材料を提供する場合、その材料費と運搬費も請負代金に含めて計算します
    • 一つの工事を意図的に分割して契約しても、正当な理由がなければ合計額で判断されます

    特に材料支給がある工事は、請負代金だけを見ると500万円未満でも、材料費を加えると超えてしまうケースがあります。この点は見落とされやすい部分です。

    3.金額以外で許可が必要になる場面

    金額の基準を満たしていなくても、実務上は次のような場面で許可が求められることがあります。

    • 元請業者から取引条件として許可の取得を求められる
    • 公共工事への参加を検討している
    • 金融機関や取引先からの信用力を高めたい

    近年は、法律上は不要なケースでも、元請から許可の取得を求められて相談に来られる事業者様が増えています。

    4.無許可で500万円以上の工事を請け負った場合

    許可が必要な工事を無許可で請け負った場合、建設業法違反として罰則の対象になります。また、その後に建設業許可を申請する際にも影響が出る可能性があります。金額のラインが微妙な工事については、契約前に確認しておくことが重要です。

    まとめ

    建設業許可が必要かどうかは、原則として1件あたりの請負代金が500万円以上かどうかで判断します。ただし材料支給の扱いなど、判断に迷いやすい部分もあります。自社の工事が許可の必要な範囲にあたるか確認したいという場合は、お気軽にご相談ください。

  • 専任技術者になれる資格とは?建設業許可で認められる要件をわかりやすく解説

    建設業許可を取得するうえで、経営業務の管理責任者とあわせて必ず確認が必要になるのが専任技術者です。許可を受ける営業所ごとに、取得したい業種に対応した専任技術者を置かなければなりません。今回は、専任技術者として認められる要件について整理します。

    1.専任技術者とは

    専任技術者とは、建設工事に関する専門的な知識や経験を持ち、営業所に常勤して契約内容や見積もりなどの技術的な業務を担う技術者のことです。営業所ごとに、その営業所で扱う業種に対応した専任技術者を1名以上配置する必要があります。他の営業所や他社と兼務することは原則できません。

    2.専任技術者として認められる2つのルート

    専任技術者になるには、主に次の2つのルートがあります。

    国家資格等による証明

    土木施工管理技士、建築施工管理技士、電気工事施工管理技士、一級建築士、技術士など、業種ごとに定められた国家資格等を保有している場合は、その資格証の写しなどで証明します。

    実務経験による証明

    該当する国家資格を持っていない場合でも、原則として10年以上の実務経験があれば専任技術者として認められます。ただし、大学の指定学科卒業者は3年、高校の指定学科卒業者は5年など、学歴によって短縮される場合もあります。

    3.実務経験で証明する場合に準備するもの

    実務経験による証明は、資格証のように1枚で完結しないため、準備に時間がかかりやすいポイントです。主に次のような資料で、期間中継続して該当業種の工事に従事していたことを裏付けます。

    • 請求書、工事請負契約書、注文書、工事経歴書など
    • 在職期間を証明する資料(被保険者記録照会回答票など)

    このうち実務上もっともよく使われるのが請負工事の請求書です。1年につきおおむね4枚程度、証明期間分をまとめて用意するケースが多くなります。また在職期間を証明する資料としては、年金事務所で取得できる被保険者記録照会回答票が使われることがほとんどです。

    証明期間が長期間にわたる場合、当時の資料が手元に残っていないケースも少なくありません。取得を検討し始めた段階で、早めに資料の有無を確認しておくことをおすすめします。

    4.業種によって必要な資格が異なる点に注意

    建設業許可は29業種に分かれており、業種ごとに専任技術者として認められる資格の種類が異なります。例えば建築一式工事と電気工事では、対応する国家資格が異なります。複数業種の許可を同時に取得したい場合は、それぞれの業種に対応した専任技術者を確保できるかどうかも確認が必要です。

    5.専任技術者が退職した場合は届出が必要

    専任技術者が退職や異動により不在となった場合、後任者を確保して届出を行う必要があります。後任者が見つからないまま放置すると、該当業種の許可を維持できなくなる可能性があるため、早めの対応が重要です。

    まとめ

    専任技術者の要件は、資格の有無や実務経験年数、証明資料の有無によって状況が大きく変わります。自社の技術者が要件を満たしているか分からない、実務経験による証明ができるか確認したいという場合は、お気軽にご相談ください。

  • 建設業許可の500万円の要件とは?残高証明書の取り方を姫路の行政書士が解説

    この記事のポイント

    • 必要なのは「500万円を持ち続けること」ではなく、ある一日の残高を証明することです
    • 証明後にそのお金を使っても、許可には影響しません
    • 一時的に借りたお金でも構いません。よく使われる方法です
    • 残高証明書には有効期限があります。日付の管理が重要です
    • 更新のときは、原則としてこの要件を証明する必要はありません

    「500万円も用意できない」と諦める前に

    建設業許可の相談で、経管や専任技術者の話がまとまったあと、最後にこう言われる方が少なくありません。

    「500万円なんて、うちには置いておけません」

    ここで諦めてしまうのは本当にもったいない話です。というのも、この要件は「500万円を常に持っていること」を求めるものではないからです。

    正確には、ある一日の時点で500万円以上の残高があったことを、銀行の証明書で示せばよい、という要件です。証明した翌日にそのお金を材料代や外注費に使っても、許可には何の影響もありません。

    この記事では、個人事業主や少人数の会社が実際にどう対応しているかを、順を追って説明します。

    1.そもそも何を求められているのか

    建設業許可の要件のひとつに「請負契約を履行するに足りる財産的基礎」があります。一般建設業許可の場合、次のいずれかを満たすことが必要です。

    • 自己資本が500万円以上あること
    • 500万円以上の資金を調達する能力があること
    • 許可申請の直前5年間、許可を受けて継続して営業した実績があること

    このうち、これから初めて許可を取る方が使うのは、上の2つです。

    自己資本というのは、法人なら貸借対照表の純資産の額、個人事業なら期首資本金や事業主借などを合計した額を指します。決算書を見て純資産が500万円を超えていれば、それだけで要件を満たします。

    超えていない場合に使うのが、2つ目の資金調達能力です。この証明手段が、後述する残高証明書になります。

    なお、建設業を営むには最低限これくらいの体力が必要だという趣旨の要件です。金額の水準としては、決して高いハードルではありません。

    2.残高証明書とは何か

    残高証明書は、銀行に依頼して発行してもらう書類です。「何月何日の時点で、この口座にいくら入っていました」ということを銀行が証明してくれます。

    通帳のコピーではなく、銀行が発行する正式な証明書である必要があります。

    発行の手順

    • 取引のある銀行の窓口に行きます
    • 「建設業許可の申請で使う残高証明書がほしい」と伝えます
    • 本人確認書類、通帳、届出印を持参します
    • 手数料は700円から1,000円程度が一般的です
    • その場で発行されることが多いですが、銀行によっては数日かかります

    複数の口座を合算して500万円にすることもできます。その場合、同じ日付でそれぞれの証明書を発行してもらう必要がありますので、窓口でその旨を伝えてください。

    金融機関が発行する融資証明書でも要件を満たせますが、実務では残高証明書を使うほうが圧倒的に簡単です。

    3.お金は一時的に借りたものでも構いません

    ここが、多くの方が知らずに諦めているポイントです。

    要件が見ているのは、証明日時点の残高です。そのお金の出どころは問われません。

    家族や親族から一時的に借りたお金を口座に入れて残高証明書を取り、証明が済んだあとに返す。この方法は実際によく使われており、問題のない対応です。

    一人親方の方でも、この方法であれば要件をクリアできます。「500万円を貯めてから」と考えて何年も先延ばしにする必要はありません。

    ただし、証明した日以降にお金を動かすことが前提です。証明日より前に出し入れがあっても構いませんが、証明日当日の残高が500万円を下回っていれば意味がありません。

    また、不自然に見える動きは避けたほうが無難です。極端な例では、複数の申請者が同じ資金を回して使うといったケースが問題視されることがあります。あくまで自分で用意した、または借り受けた資金として説明できる形にしてください。

    4.日付の管理が最大の注意点

    残高証明書でつまずくとすれば、ほぼ日付の問題です。

    有効期限は原則として発行日から1か月です。兵庫県をはじめ多くの都道府県では、申請日の直前1か月以内に発行されたものを求めます。早く取りすぎると期限切れになり、取り直しになります。手数料も時間も無駄になりますので、順序が大切です。

    正しい進め方

    1. まず必要書類を一通りそろえる
    2. 経管や専任技術者の証明資料の目処が立つ
    3. 申請の日程が見えてきた段階で、残高証明書を取る
    4. 申請する

    残高証明書は最後に取る、と覚えておいてください。行政書士に依頼される場合も、他の書類の準備が整った段階でご案内するのが通常です。

    なお、多くの銀行では「何月何日時点の残高」という指定が可能です。給料日や入金予定日に合わせて証明日を設定すれば、無理なく500万円を用意できる場合もあります。窓口で相談してみてください。

    5.更新のときはどうなるか

    5年ごとの更新申請では、原則としてこの財産的要件を証明する必要はありません。

    前述のとおり、許可を受けて5年間継続して営業してきた実績そのものが要件を満たすものとして扱われるためです。更新のたびに500万円を用意しなければならない、ということはありません。

    ただし、業種を追加する場合など、新たに許可を取る手続きでは改めて証明が必要になります。

    6.特定建設業の場合は基準が違います

    元請として一定規模以上の工事を下請に出す場合には特定建設業許可が必要で、この場合の財産的基礎はかなり厳しくなります。

    • 欠損の額が資本金の20パーセントを超えていないこと
    • 流動比率が75パーセント以上であること
    • 資本金が2,000万円以上あること
    • 自己資本が4,000万円以上あること

    これらをすべて満たす必要があり、しかも残高証明書のような一時的な方法では対応できません。決算書の内容そのものが問われます。

    個人事業主や小規模の会社が最初に取得するのは一般建設業許可ですので、まずは500万円の要件だけを考えていただければ十分です。

    よくあるご質問

    Q.500万円は、証明したあとも置いておかないといけませんか?
    A.いいえ。証明が済めば、通常どおり事業に使って構いません。

    Q.500万円は必ず現金でないとダメですか?
    A.残高証明書で証明する場合は預金である必要があります。ただし、決算書の純資産が500万円を超えていれば、そもそも残高証明書は不要です。

    Q.口座を複数に分けている場合はどうなりますか?
    A.合算できます。同じ日付でそれぞれの残高証明書を発行してもらってください。

    Q.家族から借りたお金でも本当に大丈夫ですか?
    A.問題ありません。資金の出どころは問われず、証明日時点の残高が確認できれば要件を満たします。

    Q.審査の途中で口座からお金を引き出しても大丈夫ですか?
    A.大丈夫です。審査で見られるのは提出された残高証明書の内容です。

    まとめ

    • 必要なのは、ある一日に500万円以上の残高があったことの証明です
    • 証明後にそのお金を使っても、許可に影響はありません
    • 一時的に借りた資金でも構いません
    • 残高証明書の有効期限は原則1か月。他の書類が整ってから取ってください
    • 更新のときは、原則として改めての証明は不要です

    「500万円が用意できないから無理だ」と思い込んで、許可の取得を先延ばしにされている方は少なくありません。実際には、進め方さえ分かれば越えられるハードルです。

    行政書士なかお事務所では、姫路市を中心に、個人事業主や小規模の建設会社の許可取得をサポートしています。資金の準備をどのタイミングで行えばよいかも含めて、全体の段取りをご案内いたします。

    兵庫県知事許可の申請窓口は、姫路市に主たる営業所がある場合、中播磨県民センター 姫路土木事務所 建設業課(姫路市北条1-98)です。姫路市のほか、相生市・たつの市・赤穂市・宍粟市・市川町・福崎町・神河町・上郡町・太子町・佐用町を管轄しています。