決算変更届(事業年度終了届)とは?提出期限と必要書類を姫路の行政書士が解説

 
建設業許可を取ったあと、多くの事業者さんがうっかり忘れてしまう手続きがあります。それが「決算変更届」です。
 
許可は取って終わりではなく、毎年の決算ごとに書類を出し続けることではじめて維持できます。この届出をためてしまうと、5年後の更新のときに一気に何年分もの書類を作ることになり、費用も手間も大きく膨らみます。
 
この記事では、姫路市で建設業許可を専門に扱っている行政書士が、決算変更届の中身、提出期限、必要書類、姫路市での提出先、出さなかった場合にどうなるかまでを、個人事業主や小さな会社の方にもわかりやすい形でまとめました。
 
 
決算変更届とは何か
 
決算変更届は、建設業許可を持っている事業者が、毎事業年度が終わるたびに、その年度の工事実績と決算内容を許可行政庁に報告する届出です。
 
正式には「事業年度終了届」「決算報告」などと呼ばれることもありますが、指しているものは同じです。建設業法にもとづく届出であり、許可業者であれば規模の大小を問わず、法人でも個人事業主でも、すべての業者に義務があります。
 
ここで大事なのは、これが「変更があったときだけ出すもの」ではないという点です。会社の内容に何の変更がなくても、決算が来れば毎年必ず出さなければなりません。名前に「変更届」と入っているせいで、変わったことがないから出さなくてよいと勘違いされる方が非常に多い手続きです。
 
なぜ毎年報告させるのかというと、建設業許可の業者情報は、発注者や取引先が閲覧できる制度になっているためです。どんな工事をどれくらいの規模で行っているのか、財務状態はどうなっているのかを、公の情報として最新の状態に保つ、というのがこの届出の狙いです。
 
 
提出期限は事業年度終了後4ヶ月以内
 
決算変更届の提出期限は、毎事業年度が終了した後4ヶ月以内です。
 
たとえば3月31日決算の会社であれば、7月31日までが期限になります。12月31日決算の個人事業主であれば、翌年の4月30日までです。
 
法人の場合は、株主総会や決算の確定を待ってから作業に入ることになるため、実際に使える時間は思っているより短くなります。個人事業主の場合も、確定申告が終わってから取りかかると期限まであまり余裕がありません。決算が固まった段階で早めに準備を始めるのが安全です。
 
なお、4ヶ月を過ぎてしまったからといって受け付けてもらえなくなるわけではありません。遅れた分は遅れた分としてまとめて提出することになります。ただし後述するとおり、ためればためるほど負担は重くなります。気づいた時点でできるだけ早く出すのが正解です。
 
 
提出する書類
 
提出書類は法人か個人かで少し変わります。以下は兵庫県知事許可の場合の基本的な内容です。
 
法人と個人に共通するもの
 
変更届出書。表紙にあたる書類で、様式は別紙8です。
 
工事経歴書。その事業年度中に完成した工事の内容を記載します。様式第2号です。
 
直前3年の各事業年度における工事施工金額。過去3年分の施工金額を業種ごとに記載します。様式第3号です。
 
事業税の納税証明書(1)。兵庫県知事許可の場合、法人は法人事業税、個人は個人事業税のものになります。県税事務所で取得します。
 
法人の場合に必要なもの
 
貸借対照表(様式第15号)、損益計算書および完成工事原価報告書(様式第16号)、株主資本等変動計算書(様式第17号)、注記表(様式第17号の2)が必要です。
 
これに加えて、資本金の額が1億円を超える場合、または最終事業年度の貸借対照表の負債の合計額が200億円以上の場合は、附属明細表(様式第17号の3)も提出します。小さな会社であれば通常は不要な書類です。
 
また、株式会社の場合は事業報告書も提出します。これは任意様式とされており、決まった書式が指定されているわけではありません。合同会社などの持分会社では不要です。
 
個人事業主の場合に必要なもの
 
貸借対照表(様式第18号)と損益計算書(様式第19号)です。法人に比べると必要な様式は少なくなります。
 
各様式は兵庫県のホームページからエクセル形式でダウンロードできます。
 
 
税務署に出した決算書をそのまま使うことはできない
 
決算変更届でいちばんつまずきやすいのが、この財務諸表の部分です。
 
顧問税理士さんが作った決算書、あるいは自分で作った確定申告書の決算書を、そのままコピーして出せばよいと考えてしまいがちですが、それはできません。建設業法で定められた様式に、数字を組み替えて作り直す必要があります。
 
たとえば、税務上の決算書では「売上高」とひとまとめになっている金額を、建設業の財務諸表では「完成工事高」と「兼業事業売上高」に分けて記載します。同じように、原価も「完成工事原価」と「兼業事業売上原価」に分けます。建設業以外の売上、たとえば物販や不動産賃貸などがある事業者さんは、この切り分けが必要になります。
 
さらに、完成工事原価報告書では、原価を材料費、労務費、外注費、経費に区分して記載します。税務上の決算書ではここまで細かく分けていないことも多く、内訳を確認しながら振り分ける作業が発生します。
 
会計や税務にあまり詳しくない方が、この組み替えを独力でやろうとすると、かなり時間がかかる部分です。
 
 
工事経歴書の書き方で気をつけたいこと
 
工事経歴書は、その年度に完成した工事を並べて書く書類です。ここでも間違いが起こりやすいポイントがあります。
 
まず、許可を受けている業種ごとに1枚ずつ作成します。2業種の許可を持っていれば2枚必要です。
 
記載する工事の範囲や並べ方には決められたルールがあります。経営事項審査を受けるかどうかによっても書き方が変わってきます。経審を受けない場合は主な工事を請負金額の大きい順に記載していく形が基本ですが、細かい記載要領は必ず確認したうえで作成してください。
 
また、請負金額を消費税込みで書くのか、税抜で書くのかという点もよく質問をいただきます。経営事項審査を受けない場合は、税込と税抜のどちらで記載してもかまいません。ただし、工事経歴書だけの話ではなく、財務諸表など一緒に提出する他の書類とも扱いをそろえる必要があります。工事経歴書は税込、財務諸表は税抜というようにばらばらになっていると、完成工事高の数字が合わなくなり、指摘を受けることになります。どちらにするかを決めたら、届出書類全体で統一してください。一方、経営事項審査を受ける場合は選択の余地がなく、必ず税抜(税別)で記載します。ただし消費税の免税事業者は税込で記載することになります。将来的に公共工事を考えていて経審を受ける予定がある方は、最初から税抜で作っておいたほうが後々の手間が少なくなります。
 
もうひとつ、500万円未満のいわゆる軽微な工事しか行わなかった年度であっても、決算変更届自体は必要です。工事が少なかった年、あるいは工事がまったくなかった年でも、その内容で届出をします。売上がなかったから出さなくていい、ということにはなりません。
 
 
姫路市での提出先
 
決算変更届は、主たる営業所の所在地を管轄する土木事務所に提出します。兵庫県庁では受け付けていません。
 
姫路市に主たる営業所がある事業者の場合、提出先は中播磨県民センター姫路土木事務所建設業課です。新規許可申請や更新申請と同じ窓口になります。
 
なお、決算変更届には手数料はかかりません。届出そのものは無料です。かかるのは納税証明書の取得費用や、行政書士に依頼した場合の報酬ということになります。
 
 
出さないとどうなるか
 
決算変更届を出さずにためてしまうと、いくつもの不都合が出てきます。
 
まず、許可の更新ができません。5年ごとの更新申請を受け付けてもらう前提として、それまでの各年度の決算変更届がすべて提出されていることが必要になります。更新の直前になって、4年分5年分の財務諸表と工事経歴書をまとめて作ることになり、費用も時間も一気に膨らみます。更新期限が迫った状態でこれをやると、間に合わずに許可が失効するおそれもあります。
 
次に、業種追加や般特新規といった、その後の申請ができません。仕事の幅を広げようとして業種を増やしたくなったときに、決算変更届が未提出だとそこで止まってしまいます。
 
公共工事を受注するために経営事項審査を受ける場合も、決算変更届の提出が前提になります。決算変更届を出していない年度については経審を受けられません。
 
さらに、建設業法には届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合の罰則が定められています。あわせて、指示処分などの監督処分の対象にもなり得ます。実際に未提出だけを理由にすぐ処分される例は多くありませんが、法律上の義務であることに変わりはありません。
 
そしてもうひとつ、見落とされがちなのが信用の問題です。建設業許可業者の届出内容は閲覧できる仕組みになっているため、元請や取引先がそれを確認することがあります。最新の届出がないと、きちんと管理されていない業者という印象を与えかねません。
 
 
よくあるご質問
 
赤字決算でも出す必要がありますか。
 
必要です。決算の内容がよくても悪くても、届出の義務は変わりません。赤字であることを理由に許可が取り消されるわけでもありません。ただし、財産的基礎の要件は更新時に改めて確認されるため、自己資本の状況には注意が必要です。
 
工事の売上がゼロの年度でも出しますか。
 
出します。工事実績がない旨の内容で作成して提出します。
 
決算日を変更した場合はどうなりますか。
 
決算期を変更したときは、変更後の事業年度終了後4ヶ月以内が期限になります。変更した最初の年度は期間が通常より短くなったり長くなったりしますので、期限の計算に注意してください。あわせて、定款変更などにともなう他の届出が必要になる場合もあります。
 
税理士に頼めばやってもらえますか。
 
税務申告と決算変更届は別の手続きです。建設業許可の届出は行政書士の業務になりますので、税理士さんが作った決算書をもとに、行政書士が建設業法の様式に組み替えて作成する、という流れが一般的です。
 
 
準備をラクにするために
 
決算変更届を毎年スムーズに出すために、日ごろからできることがあります。
 
ひとつは、工事の記録を年度単位で残しておくことです。工事名、発注者、工事場所、請負金額、着工と完成の時期がわかるようにしておけば、工事経歴書の作成がぐっと楽になります。請求書や契約書をその都度ファイルしておくだけでもかなり違います。
 
もうひとつは、建設業の売上とそれ以外の売上を、日常の経理の段階で分けておくことです。あとから分けようとすると手間がかかりますが、最初から区分していれば財務諸表の組み替えが簡単になります。顧問税理士さんがいる場合は、建設業許可を持っていて毎年届出が必要であることを伝えておくとよいでしょう。
 
そして、決算が確定したら早めに動くことです。4ヶ月あると思っていると、納税証明書の取得や書類のやりとりであっという間に時間が過ぎます。
 
 
まとめ
 
決算変更届は、建設業許可を維持するために毎年必ず必要な手続きです。事業年度終了後4ヶ月以内という期限があり、法人でも個人事業主でも、工事の有無にかかわらず提出しなければなりません。
 
税務署に出した決算書をそのまま使えず、建設業法の様式に組み替える作業が必要になるため、慣れていないと思った以上に時間がかかります。ためてしまうと更新や業種追加ができなくなり、あとから何年分もまとめて作ることになります。
 
もし何年分か出せていない状態になっていても、遡って作成すれば対応できます。更新期限が迫る前に手を打てば十分に間に合いますので、心当たりのある方は早めにご相談ください。
 
 
行政書士なかお事務所では、姫路市を中心に建設業許可の新規申請、更新、業種追加、決算変更届の作成と提出代行を承っています。決算変更届が何年分かたまってしまっている、財務諸表の組み替えがよくわからない、といったご相談もお気軽にどうぞ。地域に密着した個人事務所として、一件一件ていねいに対応いたします。
 

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