建設業許可を取ったあと、現場のがれきや残材を自社の車で運びたいという理由で、産業廃棄物収集運搬業許可を続けて取得される会社は少なくありません。
その申請でつまずきやすいのが「運搬容器」です。車両はある、講習も修了した、それなのに窓口で「この品目を運ぶなら容器はどうするのですか」と聞かれて止まってしまう。よくあるパターンです。
兵庫県の許可申請要領(令和8年5月版)に沿って、要点を整理します。
まず申請先を確認する
兵庫県の要領では、提出先が次のように整理されています。
政令市(神戸市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市)の1市内のみで収集運搬を行う場合は、その政令市に申請する。それ以外の場合は、兵庫県知事の許可を県民局に申請する。
姫路市の許可は、姫路市内で積んで市内で降ろす場合のものです。現場が姫路市内でも、処分場が市外にあれば足りません。建設業の方は、県知事許可のほうが使い勝手がよいことがほとんどです。
なお許可は積む場所と降ろす場所の両方に必要です。県外へ持ち出すなら、その県の許可も要ります。
容器はどこに書くのか
兵庫県の様式は、品目、車両、容器、運搬時の措置が別々の面に分かれていて、対応させて書くことが求められます。
第1面 取り扱う産業廃棄物の種類
第2面 (1)運搬車両一覧、(2)その他の運搬施設の概要(ここに運搬容器)
第4面 車両ごとの用途(どの車でどの品目を運ぶか)
第5面 環境保全措置の概要(運搬に際し講ずる措置)
第7面・第8面 運搬容器等の写真
要領には「車両等については第2面と、取扱う産業廃棄物については第1面と対応させて記載してください」とあり、写真の面にも「第2面の記載と対応させてください」とあります。どこか一つだけを埋めても通りません。
容器を書くのは「容器を使うとき」
第2面(2)には次の注意書きがあります。
飛散、流出を防止するため運搬容器等を使用するときは、それら容器について記載し、様式第6号の2第7面の写真も添付してください。
裏を返せば、容器を使わない運び方なら書くものはありません。ダンプでがれき類を直積みしてシート掛けで運ぶ場合、飛散防止の手段はシートです。この場合は第5面に「飛散防止のため荷台にはシートがけを行う」と書きます。バキューム車のように車両自体が容器の役割を果たす場合も同じ考え方です。
容器が要るのは、液状、粉状、においの強いものです。廃油、廃酸、廃アルカリ、汚泥、燃え殻、ばいじんなどが代表例です。
そして必要な容器は許可品目から逆算して決まります。汚泥を品目に入れるならドラム缶などが要りますが、入れていないなら要りません。品目を広げるほど用意する容器も増えますので、当面運ばない品目まで入れるかどうかは容器の準備とセットで判断してください。
第2面 容器の書き方
欄は、運搬容器等の名称、用途、容量、備考の4つです。要領の記載例はこうなっています。
コンテナ 用途は廃プラスチック類(石綿含有産業廃棄物を含む。)、木くず、がれき類(石綿含有産業廃棄物を含む。)、ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず(石綿含有産業廃棄物を含む。) 備考は「石綿含有産業廃棄物については、他の廃棄物と混ぜて使用しない。」
ドラム缶 用途は廃油
用途には第1面に書いた品目を記載します。第1面にない品目を容器の用途に書くことはできません。水銀使用製品産業廃棄物用容器、石綿含有産業廃棄物容器があれば記載します。
第5面 運搬に際し講ずる措置
要領の記載例です。
飛散防止のため荷台にはシートがけを行う。
石綿含有産業廃棄物は他の廃棄物と混ざらないように運搬する。外、「石綿含有廃棄物等処理マニュアル」を遵守する。
水銀使用製品産業廃棄物は他の廃棄物と混ざらないように運搬する。外、「水銀廃棄物ガイドライン」を遵守する。
水銀含有ばいじん等は必要に応じて蓋付の容器に入れて運搬する。外、「水銀廃棄物ガイドライン」を遵守する。
液状の廃棄物はドラム缶に入れて運搬する。
第7面・第8面 容器の写真
1枚の用紙に2種類分の枠があり、3種類以上ある場合は用紙を複写して使います。各面に容器の名称と用途を書き、写真を貼り、撮影年月日を記入します。
注意書きは次のとおりです。
第2面の記載と対応させること
容器等全体を撮影すること
感染性廃棄物にかかる容器は、バイオハザードマーク付きの(または感染性廃棄物である旨を明記した)容器にすること
蛍光灯専用容器以外で蛍光灯を運ぶ場合、明確に割れないと判断できる場合以外は、緩衝材等の工夫がなされていることがわかる写真を添付すること
撮影年月日の欄がある様式ですので、実際に手元にある容器を撮って貼ることになります。持っていない容器の画像を借りて貼るのは避けてください。虚偽の申請は許可の取消しにつながります。
建設業の方がいちばん引っかかるところ
第2面の運搬車両一覧に、見落とすと痛い注意書きがあります。
車検証等の備考欄に「積載物品は土砂等以外のものとする」等の表示がある場合には、がれき類、鉱さい、ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずは運搬できません(土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法)。
解体現場のがれきを自社ダンプで運ぶつもりでも、車検証の備考欄の表示によっては、がれき類の許可を取っても積めません。記載例でも、備考に「土砂等積載禁止ダンプのため、がれき類の積載は行わない。」と書く形になっています。
申請の前に、ご自身のダンプの車検証の備考欄を確認してください。
もうひとつ、申請者と車検証の使用者(空欄の場合は所有者)が異なる場合は、別紙3「車両の貸借に関する証明書」の添付が必要です。借りた車やリース車を使う予定の方はご注意ください。
よくあるつまずき
姫路市内で完結しない仕事なのに、姫路市の許可を取ってしまう
第1面、第2面、第4面の記載がずれている
土砂等積載禁止ダンプであることに気づいていない
容器も使わず、第5面にシート掛けの記載もない
容器全体が写っていない、撮影年月日が空欄など、写真の不備
他人名義の車両の貸借証明書が漏れている
申請書類の入手先
兵庫県知事許可の申請要領と様式は、兵庫県の電子申請システム(e-ひょうご)の申請書ダウンロードから入手できます。要領は改訂されますので、申請の際は必ず最新版をご確認ください。
まとめ
進め方はこの順番です。どこで積んでどこで降ろすかを整理して申請先を決める。品目を決める。運ぶ車両を決め、車検証の備考欄まで確認する。飛散流出を防ぐ手段(容器またはシート)を決める。容器を使うなら実物を用意して写真を撮る。
行政書士なかお事務所では、姫路市の建設業許可申請とあわせて、産業廃棄物収集運搬業許可の申請もお受けしています。「県と市のどちらで取ればいいのか」「うちのダンプで運べるのか」といった段階のご相談でも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。